家族信託 Q&A


家族信託 Q & A

家族信託契約をする時に様々な疑問が湧いてきます。
疑問を解決して、家族信託契約をしましょう。

1.契約書は公正証書で作成するのですか?

信託法では、公正証書で作成することが求められていません。
ですが、信託契約の有効性を確実にするためには、公正証書で契約書を作成する必要があります。
例えば、金融機関で信託口口座を作るときに、金融機関が公正証書で契約書を作ることを求めてきます。これは、金融機関が信託契約の有効性を担保したいからです。
さらに金融機関によっては、信託契約書の原案を自社の法務専門家の内容確認後、公正証書での契約書作成を求めてくることが通常です。
ぜひ、公正証書での信託契約書作成を行って下さい。
士業(行政書士、司法書士など)では契約書原案作成だけでなく、公正証書作成支援も行っています。

2.信託契約とはどのような内容の契約ですか?

信託契約には、少なくとも3者が登場します。
委託者・・・自分の財産を信頼する人に託し、管理・運営を委託する人
受託者・・・他者の信頼を受け、他者の財産を託され、管理・運営する人(基本無報酬)
受益者・・・受託者の財産管理・運営によって生じた利益を受ける人

通常、委託者と受益者は同一人物と設定します。
この信託を自益信託と言います。

例を示します。
委託者:父
受託者:長男
受益者:父
長男を信じて、父が託した財産(信託財産):父1人で住んでいる自宅(土地・建物)

受託者の長男が、父が認知症になった時に父の自宅を売却して、父が介護施設に入る資金にする内容の信託契約を 委託者:父と 受託者:長男が契約します。
父が認知症になり長男が父の自宅を売却して、父は介護施設に入所します。
受益者の父は、介護施設に入るという利益を得たことになります。
以上が代表的な信託契約です。

3.信託財産はだれの所有物ですか?

信託財産は受託者のものではありません。
信託した財産の「所有権」はなくなり、受益者の「受益権」と名前が変わります。
所有権がなくなることが理解しづらいと思います。
法律の考え方を理解するのは困難ですが、委託者の財産は委託者のもとを離れ、受益者のもとへ移ったとお考え下さい。
但し、その財産の管理や運営は受託者のみが行うことができます。

4.信託契約を利用するのはどのような人たちですか?

もっとも一般的なのは、委託者が認知症などにより資産凍結や法律行為ができなくなることへの事前処置として、子供などに財産管理や運営をしてもらうケースです。
例えば、収益不動産(賃貸アパートなど)をお持ちの方が、認知症になるとそれ以降の賃貸契約ができなくなり、建物の修繕契約もできなくなり大きな損失です。
事前に対応する方法は、家族信託契約により認知症になる前に、子供へ収益不動産を信じて託す(信託契約)ことです。

会社経営者が、会社の株式を後継者の子供に信託して、認知症になったら子供が会社経営できるように設定する方も多いです。

5.受託者は基本無報酬ですが、報酬を貰うことことの可能ですか?

信託契約書の中に受託者の報酬を明記すれば、報酬の受取もできます。

6.受託者は基本無報酬などで信託財産の管理や運営で費用が発生したら受託者の自己負担ですか?

信託契約の定めた管理や運営を行う受託者に必要な経費負担及び税負担はすべて受益者が負担します。(まずは、受託者が信託財産の中から経費負担や税負担分を受け取ります)

このことを、受益者負担・受益者課税と言います。

例を示します。
不動産を信託財産にすると、不動産の登記簿に信託の内容を登記します。
固定資産税の支払い通知は受託者宛てに届きます。
受託者は、税金の支払い行為をしますが、信託財産の中から支払いをします。信託財産の中にその税金分の財産がない場合は、受益者に請求します。
これが、受益者課税です。
受託者が自己の財産を減らすことはありません。

7.受託者が委託者や受益者より先に亡くなった場合は、信託契約は終わるのですか?

このようなケースで信託契約が終了すると委託者や受益者に不利益になることが多々発生します。
信託契約書の中で第二受託者、第三受託者を決めておかれると良いでしょう。

8.受益者が死亡し、信託契約が終了したら残っている財産は受託者のものになりますか?

受益者が死亡した場合、信託契約書の中で第二受益者を決めていれば信託契約は続行されます。
但し、当事務所では第二受益者や第三受益者を設定するのはお薦めしておりません。
信託契約の内容が非常に複雑になってしますからです。また色々な不具合の発生にもつながります。

受益者が死亡し信託が終了した場合の残りの財産(残余財産)は、受託者の財産とはなりません。
信託契約書の中で残余財産をどのように分配するのかを決めておくことができます。
受託者に渡してもよいし、他の者へ渡してもよいです。自由に設定できます。
このことを信託契約書の遺言機能と呼びます。


草間茂

代表 行政書士

草間茂

行政書士                  家族信託相談士                   遺言相談士                  相続対策相談士               お問合せ 078-856-7110

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