遺言書 Q & A


遺言書 Q & A

遺言書を作成する時に様々な疑問が湧いてきます。
疑問を解決して、遺言書を作成しましょう。

1.自筆証書遺言書を書く用紙に制限がありますか?

特にありません。スーパーのチラシの裏が白紙であれば、遺言書に使用してもOKです。
動物の模様が入っていてもOKですが、文字の判別が難しくなるような模様はNGです。
奇抜な用紙ではなく、コピー用紙など普通に白い用紙を利用されることをお勧めします。
あまり薄い用紙は破損や破れの原因にもなりますので、耐久性も考えて用紙を選択して下さい。

2.自筆証書と公正証書のどちらで作成する方がいいのですか?

何事にもメリットとデメリットがあります。
それを理解して前に進めましょう。

自筆証書遺言のメリットは、
手軽に作成できることです。遺言書は何回でも作成し直すことができます。
公正証書遺言を作成し直すには手間が掛かります。
法務局にて自筆証書遺言の保管制度もあり保管場所に悩むこともありません。
法務局に保管することで、家庭裁判所の検認手続き(2~3か月要する)が不要となり、相続人の負担が軽減されます。

自筆証書遺言のデメリットは、
法律に抵触し無効となることがあることです。
さらに、曖昧な表現が争族(相続人の争い)となることがあります
→ 解決策としては、遺言作成を専門としている士業(行政書士、司法書士など)に
原案作成を依頼 又は 作成した遺言書の内容チェックを受けると良いでしょう。

公正証書遺言のメリットは、
公証人が作成する為、法律に抵触することなく、かつ後に問題になるような曖昧な表現もなく作成できます。

公正証書遺言のデメリットは、
公証人とのやりとりが煩雑で時間を要することや証人2名の立ち合いのもと、公証人の都合に合わせて公証役場にて作成することです。
証人2名は法律により親族などはなれません。
→ 解決策としては、遺言作成を専門としている士業(行政書士、司法書士など)に
公証人との間の仲介を依頼して煩雑さを軽減することです。
証人2名も士業に依頼できます。

3.長男に実家を相続させるのですが、長男が私より先に死んだ場合は、長男の子(孫)が実家を相続することになりますか?

長男が先に死亡した場合は、長男の子(孫)が代襲相続しますが、代襲相続するのは長男の持つ法定相続割合です。
長男が先に死亡した場合に長男の子に実家を相続させるには、遺言書にその旨を記載していなければなりません。

4.後妻の連れ子は相続人となりますか?

後妻の連れ子は相続人となりません。
但し、養子縁組をすれば相続人となります。

5.遺言書に相続させると書いた土地を売却したら、遺言書を作り直すことになりますか?

遺言書を作り直す必要はありません。
遺言書に当該土地を相続人に相続させると書いてあっても、死亡時に所有権のない物は相続対象にならないからです。

6. 2つの自筆遺言書が見つかりました。注意することがありますか?
日付の新しい方が有効と聞きますが・・・。

前の遺言と新しい遺言との内容で抵触する部分のみ、新しい遺言書が有効となります。
つまり、前の遺言と新しい遺言の内容で抵触しない部分は、前の遺言も有効です。

第1023条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

7.遺言執行者を3人の子供の1人にしようと考えています。注意することがありますか?

遺言執行には時間も手間もかかります。
3人のお子さんの住んでおられる所や自由に時間を使えるかなども考慮して、遺言執行者を決める必要があります。
また、遺言執行者がケガ・病気・死亡などで遺言執行ができなくなった場合に備え、第二遺言執行者を決めておくことをお勧めします。
さらに、遺言執行者が第三者に遺言執行を委託できるように、遺言に記載するのも一案です。

8.遺言を書こうと思っています。相続人は妻と2人の子供です。
何に注意したらよいか教えてください。

通常注意することは、遺留分(相続人の最低限の相続割合)です。
遺留分の侵害は、争族(相続人の争い)の第一原因です。
遺留分は配偶者や子供の場合は、法定相続割合の半分です。

9.遺留分の放棄はできますか。

相続開始前でも開始後でもできます。
相続開始前は、遺留分の放棄を家庭裁判所に申し出ます。
相続開始後は、遺留分侵害額請求をしなければいいだけです。

10.遺留分の請求は裁判所に申し出るのですか?

家庭裁判所に訴えなくてもよいです。
遺留分侵害額請求をする旨を、遺留分を侵害している相手に伝えればOKです。
実務的には内容証明郵便を使います。
遺留分侵害額請求を受けた相手は、侵害額を金銭で支払う法律上の債務を持つことになります。

11.自筆証書遺言の検認はめんどうですか?

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していない自筆証書遺言書は、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければなりません。
この手続きは、めんどうだけでなく相続人にかなりの負担を掛けることになります。
故人の生まれてからの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と住民票を集めるだけでも時間がかかります。
検認申込みが済んだ後、家庭裁判所から相続人全員に住民票の住所宛てに、日時指定で出頭命令書が届きます。
日時に関しては、相続人の都合などは考慮してもらえません。
全員参加しなくても検認は行われます。
検認申込から検認終了まで2~3か月かかります。めんどうですね。

12.公正証書遺言の書き直しはめんどうですか?

公正証書遺言を作成した手続きを再度行います。
一部書き直しの場合の料金は減額された料金となります。
めんどうと言えば、めんどうかも知れません。

13.亡くなった親が、遺言書を作っていたか知りたいのですが、遺言書を見つける方法は?

自筆証書遺言の場合は、
法務局に預けている可能性もあります。最寄りの法務局に確認すれば良いでしょう。
最寄りの法務局に電話にてどのような書類を用意して確認の申請をするのか尋ねてください。
もし法務局に預けていなければ、故人の家の中をくまなく探し、念のため銀行の貸金庫に入っていないか確認してください。

公正証書遺言の場合、
最寄りの公証役場に確認すれば良いでしょう。最寄りの公証役場に電話にてどのような書類を用意して確認の申請をするのか尋ねてください。
公証役場で公正証書遺言を作成した記録があれば、故人の家の中に公正証書遺言の正本と謄本があるはずです。
見つからない場合は、公証役場で公正証書遺言の謄本を発行してもらいます。

14.遺言書に基づいて財産目録を作っていますが、相続人受取の死亡生命保険も財産目録に入れますか?

受取人が指定されている死亡生命保険は、民法上相続人たちで遺産分割する相続財産に
含まれません。確実に指定された人が受取ることのできる金銭です。
但し、相続税法上では、人が亡くなったことにより取得する財産は相続税の対象となります。
  
15.自筆遺言書は必ず封筒に入れて封印しないといけませんか?
自筆遺言書を銀行の貸金庫に保管しようと思っています。封筒にいれて封印することは
必要ないのではと思います。なにか問題ありますか?

自筆証書遺言は、必ず封筒に入れて封印する必要はありません。
習慣的に封筒に入れて封印して保存する人が多いだけです。
尚、銀行の貸金庫に遺言書を保管するのは、お薦めしません。
故人の貸金庫を開けるのに相続人全員の立ち合いを求める金融機関が多いため、貸金庫を開けることが後回しになることが通常です。遺産分割協議が終わったあとに貸金庫から遺言書が見つかれば遺産分割協議が無駄になりますし、また相続人たちの争いにもつながります。

16.遺言書を作ったと子供達に言っておいた方がいいですか?

遺言書を作られたら、親から直接お子さんたちに遺言書の内容を説明し理解を求めれば、争族にならないのが通常です。

17.自筆遺言書の保管場所を相続人に伝えておいた方がいいでしょうか?

自筆証書遺言書の保管場所を相続人に伝えておくのに抵抗を感じる方は多いです。
遺言書の改ざんや消滅の心配も生じます。
ぜひ、法務局の自筆証書遺言書の保管制度を利用して下さい。そして相続人の方々に法務局に預けていると伝えてください。遺言書の改ざんや消滅の心配は無用となります。

18.遺言書を作った人が、遺言書を作成したきっかけはどんなタイミングが多いのでしょうか?

人生の節目で作成される方が多いです。
子供が生れた時、
子供が社会人になった時、
子供が結婚した時、
定年退職された時、
高齢者(65歳)になった時、
後期高齢者(75歳)になった時、
大病し退院した時、
足腰が弱まり、不安を感じた時、
などです。

19.認知症になる前に遺言書を作っておけば安心だと聞きます。遺言書は認知症対策に有効ですか?

遺言書の作成は、認知症の対策にはなりません。
認知症の対策で一番注目されているのが「家族信託契約」です。
当事務所のホームページの家族信託のページを参考になさって下さい。
気を付けないといけないのは、認知症になった後では遺言書は作成できないことです。

20.自筆証書遺言に押印する印鑑は、認印でもOKと聞きますが、実印を押す方がいいとも聞きます。どちらを選ぶべきですか?

実印を押印されることをお薦めします。
社会通念として、実印は本人しか使えない印鑑と認識されています。
実印の押印は、遺言書が偽造されたものでないことを裏付ける手段の一つです。

21.おひとり様も遺言を書くべきですか?財産はすべて国庫に入ってもよいと考えています。

財産がすべて国庫に入っても良いとのことですが、相続人がいない方の死後の手続きのすべてを役所がしてはくれません。

死後に関してあなたの想いはありませんか。
葬儀は不要ですか。
遺骨の処理の希望(散骨など)がありませんか。
財産を寄付したいところはありませんか。

死後事務委任契約や遺言書がなければ、あなたの想いは実現しません。
ぜひ、遺言書を作成して下さい。
遺言書作成の専門士業(行政書士や司法書士など)にご相談下さい。

22.血縁関係の相続人は1人もいません。内縁関係の妻がいますが、内縁関係の妻は特別縁故者となり相続人となると聞きました。遺言書を作っておいた方がいいですか?

内縁の配偶者が特別縁故者と認定されるケースもありますが、必ず認定されるとは言えません。遺言書を作成されることをお薦めします。

23.遺言書と家族信託契約書の両方を作った方がいいと聞きました。なぜいいのか教えて下さい。

遺言書の効力は死後に発生します。生前中には効力はありません。
家族信託契約の効力は生前中に発生します。
たとえ生前中に認知症になっても、家族信託契約の効力は消滅しません。
現時点から死後まで、ご自身の財産を有効に管理・活用したいのであれば、遺言書と家族信託契約の2つを認知症になられる前に作成して下さい。
両方とも認知症になってからでは作成できません。

24.遺言書で配偶者居住権を設定するメリットは何ですか?

配偶者居住権は非常に新しい制度です。
配偶者の居住する家の確保と配偶者への金銭相続の額を増やすことができます。
2次相続の相続税対策に有効です。
詳しくは、遺言書作成の専門士業(行政書士や司法書士など)にご相談下さい。

25.遺言書に付言を書くようにアドバイスされました。どんなことを書いたらいいのか悩んでいます。助言をお願いします。

相続人の方々へ、なぜこの内容の遺言になったのか、遺言の内容を理解してほしいとの
想いをお書き下さい。
堅苦しい言葉は不要です。相続人へ話しかけるような言葉で書かれてください。


草間茂

代表 行政書士

草間茂

行政書士                  家族信託相談士                   遺言相談士                  相続対策相談士               お問合せ 078-856-7110

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